祖父と練乳とKOPI

『大阪のおじいちゃんとおばあちゃんち』、

母方の両親の家にはいつも練乳がありました。

いつも必ず冷蔵庫に入っていました。

遊びに行くと、私は冷蔵庫を開け、それを確かめると、

たまには指の先にとって舐めたりしたように思います。

祖父は練乳をコーヒーに入れて飲むのが好きでした。

「えー、コーヒーに練乳入れんの?」と、思ってた気がします。

 

とてもインテリで、こだわりの強い祖父でした。

いつも立派な書斎机に向かってものを書いているか、

アームチェアーに腰かけて分厚い本を読んでいました。

書斎は英語の本だらけでした。

焼き魚よりビフテキを好み、

朝ごはんのトーストにつけるのは必ずオレンジのママレードでした。

食事の時はいつも真っ白のナプキンを首元に差し込んでいたと思います。

大阪に住んでいるくせに「お好み焼きは庶民の食べ物」と言って

「食べたことがない」と言っていました。

私が高校受験で日本に帰った時、

母と祖父母と4人でお好み焼きを食べに行ったときそう聞いた気が。

晩年には結構お気に入りだったように記憶しています。

 

そんな祖父はコーヒーには練乳でした。

 

祖父は商船会社に勤めていたので戦後、

母がまだ小さいころシンガポール

南アフリカケープタウンに単身赴任していたことがあります。

シンガポールは、正確には家族のビザがおりるのに2年かかり、

祖母が当時小学2年生だった母と弟を連れてシンガポールに越した後、

半年か1年そこらで今度はケープタウンにスライド赴任した、

という経緯だったようです。

さすがに当時のケープタウンに妻子は連れて行けなかったようで

母の外国暮らしはあっけなく終わってしまいました。

祖父にとっては、短くても家族で過ごした異国暮らし。

当時の話ですから、きっと思い出深かったと思います。

 

縁のある場所なんだな、と不思議な気がします。

 

今回シンガポールに移り住んで、KOPIを知りました。

シンガポールの街角で出会う、喫茶の店舗の定番といえばこのKOPIです。

砂糖と練乳が入った甘い、あまーいコーヒー。

 

太陽が照りつける中、歩いて汗が噴き出た後、

ブーンという扇風機の風にあたりながら飲むアイスKOPIは、

めちゃくちゃ美味しく感じるのです。

 

あぁ、だからおじいちゃんはコーヒーに練乳だったのか。

 

今うちの冷蔵庫にも入ってます。練乳。

 

 

 

ブログ続ける励みにします!

↓ポチッとお願いします!

にほんブログ村 海外生活ブログ シンガポール情報へ
にほんブログ村